上海の寺院というと、市内中心部にあり観光客で賑わう玉仏寺と静安寺が名高いですが、実は上海西部にある「真如寺」は、観光客が少なく、伝統的な仏教の姿が今も残されています。仕事に追われ、いろいろな人間関係に巻き込まれる都会生活で多忙な皆様は、煩わしい日常から離れ、少しでも息を抜きたい時がありますよね? 今回は上海普陀区にある静かで落ち着く真如寺を紹介します。時には仕事を忘れて、祈りの旅に出かけましょう。
由緒ある古刹と出会い、心洗われる得難いひとときを愉しむ
800年歴史を持つ真如寺の名は、もともと万寿寺。現在の名前は「真=真実、如は如常(変化がない)」に由来すると伝えられています。南宋嘉定年間(1208-1224年)に創され、現存する建物は元代に修復されたもの。元代建築物として国家保護建築物に指定されています。他の有名な上海の寺院と比べ、観光客がほとんどおらず、人の姿は参拝する信者が中心の真如寺は、静かで平和な仏教の世界感が漂っています。
山門から境内へ入ると、水墨画のような白壁に黒い瓦屋根の別世界に驚くはず。手前の“兜率内院”の額縁が掛かっている建物は、天王殿です。
境内には装飾された屋根、蓮華のレリーフで彩られた道、アーチ状の門、石壁に掘られた多彩な模様など、随所に元代建築の特徴が保存されています。
更に奥へ進むと、本堂の“法界真如”が眼前に。本堂の建物は700年前の元代から始まりました。主となる構造は現在も元代の姿がそのままに残されています。
天王殿と本堂の間にそびえ立つ寺院と同年代の銀杏の古木。周囲には願いを書いた黄色の布が多数掛けられています。
木造の建物、清浄な空気感、盆栽や植木が織りなす境内の景観は見応えがあります。
梁柱の間に架かっている字画、遠く離れた僧侶の後ろ姿、幽玄な廊下にも俗世を離れたゆるやかな雰囲気が漂っています。
荘厳なる塔の威容と、マニ車が奏でる祈りの音色
最深部に佇むのは天を衝くかのようにそびえ立つ九層建ての大きな塔(内部は十層、地下も一層あり)。これは境内で一番目を引く“真如宝塔”で、塔内には上海唯一の仏舎利が納められています。塔の周りには108のマニ車が設置されており、手で回しながら仏塔を時計回りで1周すると、お経を唱えたことと同じ功徳があるといわれています。
仏塔は高さ約53メートルを誇り、四角九層の宋元式で荘厳な姿で佇んでいます。
マニ車を1つずつ回していると往時の記憶が眠りから醒めて、過去の思い出が次々と蘇ってくるかのようです。
時の流れを逃れ、ゆるやかに、柔らかに、心も体も癒やされる
寺の西側は川に接していて、蔵経閣付近から鼓楼付近まで,南北に瓦屋根の長廊が伸びています。長廊には石板碑や石板画、石塔、釣り鐘、額縁、水彩画などが並び、ゆっくりと観ていると時が経つのを忘れてしまいそうです。欄干からのんびりと川を望み、無心になって歩いていると、全身で風の声、せせらぎの音、鐘の響きを感じられます。
お経を詠むお坊さん達の声が響き渡る寺内をゆっくりと歩いていると、いつの日か心に思い描いた初心を思い出せるかもしれません。今度の余暇の日には、お寺の厳かな空気にふれて、清々しい気分になりませんか?
DATA
-
-
- ※旧暦の1日と15日には参拝客が多く混雑することがあります。また、境内ではスマホ決済やカード決済ができないため、現金をご持参ください。
- ※コロナウイルスの感染予防のため、真如寺への参拝は予約制となります。事前にQRコードをスキャンして、ご予約ください。
↑このQRコードから予約可能です。