商都上海における近代街区と言えば、新天地と田子坊が名高いですが、実は静安寺エリアと中山公園エリアの間に延びる約2kmのストリート——愚園路は、スタイリッシュな空間と下町情緒漂う雰囲気で織りなす不思議な風景が魅力的。愚園路には上海人に愛された庶民的な富春楼もあり、外国人に人気のレストランやショップも立ち並んでいます。皆さんもお住まいから少し足を伸ばして、近代のストリートを歩いて見てはいかがでしょう?
著名人たちの旧居や文化財建築に上海近代史の歩みが漂う
愚園路は共同租界の外に中国側の許可も得ず勝手に造った「租界の外の租界」で、上海越境建築地域と言われています。愚園路に建つ1900年から1948年、特に1930年前後に集中造成された特色的高級花園式住宅、アパート、別墅など新里弄(※)数は百以上。通りとしての歴史は100年以上を誇り、文化財建築、近代史に名を連ねる著名人の旧居(作家の張愛玲、役者の梅蘭芳、学者の蔡元培、エンジニアの銭学森など)も多数。 少し歩くだけで至るところに史跡のプレートが見つかるので、これらをチェックしながら歴史建築群をゆっくり観賞してみましょう。
※「里弄」という言葉の定義はまちまちです。上海の里弄の場合、租界時代から植民地時代を中心に計画的に建設された住宅地群の集まるエリアを指す意味があります。また、住宅が作り出すオープンスペースの路地的雰囲気を指している場合もあります。
歴史散策をする人のためにこのような地図が設置。歴史建造物巡りをスタート!
プラタナスの並木が続く愚園路を歩くと、所々見え隠れするおしゃれな住宅群。目を楽しませてくれます。
家屋の門や壁や道路沿いの各所に、歴史や過去に住んでいた著名人のプレートが設置されています。
古い住宅街の中にも、数多くの文化財建築が次から次へと目に飛び込んできます。
愚園路に暮らしていた著名人たちを紹介するプレートを眺めていると、上海近代史を彩った人々やその物語を訴えているようです。
現在も住んでいる住民の洗濯物が2階に干してあったりと、下町情緒ある風景にも出会えます。
芸術的な雰囲気が味わいながら、おしゃれな話題店探しを楽しむ
現在の愚園路は老朽化した伝統的居住地域を商業地域へと再生する政策で、ここ数年で大きな変化が見られます。歴史建築をリノベーションした話題のレストランがいくつか登場し、創業産業という文化的なサービス産業や街歩きが好きな人たちが集まるストリートになっています。若者に大人気の若手デザイナーが手掛けたおしゃれなアトリエやギャラリーも急増。古い街が若い命で蘇っているようです。
地元の常連が集う愚園路の百年以上の老舗で、庶民派上海料理を味わおう!
古い建物を改装したビルの中におしゃれなレストランやカフェも入居。ぜひ覗いてみてください。
今回ご紹介した愚園路はいかがでしたか?上海市中心部につながっているためアクセス抜群。皆さんも余暇の日に上海の新しい表情と昔ながらの表情の両方に立ち寄ってみませんか?